擁壁について about
擁壁とは?
擁壁とは側面の土が崩壊するのを
防ぐために、設置される壁のことです!
こんなときに設置します!
- 高低差のある土地(坂道や自然の多い場所)に家を建てる
- 森林や農地・工場跡地など宅地以外の土地を住宅地にする(宅地造成)
- 海岸や河川の堤防として護岸対策をする
- 災害復旧工事において崩落した崖地を復旧する
- 排水路工事の際の側面を保護する
- 掘削して作る道路の法面の土留め・保護
工事の手法・材料は様々で、施工場所やその土地の条件によって、
しっかりと擁壁の選定をしなければなりません。
なぜ擁壁が必要なのか?
高低差のある土地では、雨水による水圧や地震による振動で様々な
方向から圧力がかかり、土地自体が不安定になりやすくなります。
その結果、大規模な大雨や地震で土砂崩れを起こしやすくなり、災害や事故
につながる恐れがあります。
そういった最悪のケースを防ぐためにも、擁壁は必須の構造体なのです。
擁壁選定の注意事項
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地形・地質・土質
法面の傾斜の角度や性状、あるいは支持地盤の位置や支持力も擁壁選定の重要事項です。擁壁施工後の盛土や裏込め土の性質も含め、ほぼ半永久的な構造物となる擁壁のため慎重に検討する必要があります。
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周辺構造物
狭小地や都市部、街中においては特に既設の構造物の影響を受けたり、あるいは逆に与えてしまう場合があります。環境をよく確認し、基礎の根入れ深さや形式、荷重の相互影響について検討を重ねましょう。
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施工条件
施工中の法面の安定や仮の排水方法、擁壁工事の作業スペースの計画や資材搬入など施工に必要な条件設計も擁壁選定の重要事項で、経験や的確な現地調査が欠かせません。
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景観への配慮
河川や海岸の護岸工事には、擁壁が大規模な面積であればあるほど、周辺景観と調和する素材の選定が重要です。存在感の緩和や明度・彩度を抑えつつ、植物の繁茂や生物の移動経路確保まで配慮した擁壁選定を。
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経済性
住宅用地の場合や民間の開発地において最も重要な検討事項は、やはり予算。工期をかけずコストカットが可能な擁壁選定には様々な検討事項に配慮する必要があるため、専門性と豊富な経験が必要不可欠です。
擁壁の種類
擁壁の法面保護・土留めという観点から有史以来さまざまな擁壁の工法がありますが、
ここでは現代日本においてもっとも一般的なコンクリート擁壁の種類についてまとめてみました。
ブロック積擁壁
特徴
モルタルやコンクリートを接着剤や固定材に用いて石又はコンクリートブロックを積み上げた簡易な擁壁のことです。
一般に石積み、ブロック積みと呼ばれています。高低差が大きい場所で用いられる施工法です。間知ブロックを使用し、軽量・低価格で施工が可能であり、積み方のバリエーションが多いのが特徴です。
ブロックが6個集まった時のサイズが一間(180cm)となることから、間知ブロックと呼ばれるようになりました。
片持ちばり式擁壁
特徴
擁壁底部にかかと版を付け、その版上の土の重量で底版を固定して、片持梁と同様に水平方向の土圧を支える擁壁のことです。かかと版の形状によりL型擁壁、逆L型擁壁、逆T型擁壁があります。鉄筋コンクリート構造で断面は重力式擁壁等よりも小さくてすみます。
現場打ち
現場で擁壁の型を作成し、コンクリートを流し込んで擁壁を生成する施工法です。人力で可能なため比較的費用が安く済みますが「職人の腕によって完成度が左右されやすい」という特徴があります。
プレキャストコンクリート
工場で作られた加工品を現場に運搬して設置する施工法です。現場打ちと異なり既存のものをその場で設置するため短い期間での施工が可能です。施工範囲によっては現場打ちよりも安価に施工できるケースもあります。
擁壁工事の注意点
自治体申請が必要?
高さが2m以上を超えるような擁壁工事の場合、宅地造成工事の許可を得るため
地方自治体への設計申請が必須です。
事前調査も必須
「地形・地質・土質に問題がないか」
「周辺構造物に対する影響がないか」
などを事前に調査しなければなりません。
さらに!
調査の結果、国の定める「標準設計図」の利用が不可能となった場合、
荷重や応力度を計算した上で擁壁を選定し、新たに設計図を作成する必要があります。
しっかりと現場を調査・確認した上で
詳細な見積もりと設計図を提出してくれる
優良な業者の選定が何よりも重要と言えるでしょう。